京城日報(昭和14年9月30日付)半島にも國民徴用令

1939(昭和14)年7月15日、国家総動員法に基づき国民徴用令が施行された。国家の行う総動員業務に対して国民を労務動員するものであるが、記事中に「我が朝鮮に於ては勞務資源の現狀より内地の其れとは多少趣を異にし、今直に徴用實施を不可避とするものではなく、寧ろ將來の體制に備ふる爲、今般制度の實施を見るに至った次第であります」とあるように、この時点では内地への施行と適用に限られており、朝鮮では、民間企業の募集による労働力調達が引き続き行われた。

その民間企業による募集については、この年の7月に内務省・厚生省が地方長官宛に発した「朝鮮人労務者内地移住ニ関スル件」に募集要項や内地渡航の手続などが規定されており、朝鮮総督府の方でも、9月1日付で政務総監発各道知事宛「朝鮮人労務者募集並渡航取扱要綱」を通牒し、募集企業は、朝鮮総督府の許可を受けて、その指定する地域で募集、身体検査や身元調査を行い、内地へは集団渡航することを定めていた。

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十月一日より實施

人的資源の統制合理化

廿九日、關係府令公布さる


産業戰士技術者、経験工などの人的資源を最も合理的に配量統制して最大能力を發揮させるため、内地では旣に国家總動員第四條の規定に基く國民徴用令の公布を見、去る七月十五日より實施せられるに至ったが、朝鮮でも廿九日府令第百六十四號をもって國民徴用令施行規則その他關係府令が公布せられ、十月一日より施行せられることゝなったが、右につき大竹内務局長は左の如き談話を發表した。

理解ある協力切望(大竹内務局長談話)

本日府令第百六十四號を以て國民徴用令施行規則その他關係府令が公布せられ、明十月一日より施行せらるゝをと相成りました。支那事變は、今や長期段階に入 り、人的資源を更に强化して國家總力を最高度に發揚し、興亜産業の完成に學國 一致の邁進を必要とするは申す迄もないところでありますが、特に人的資源の 方面においては事變勃發以來、各種國策産業への要員の激増等のために、勞務資 源は漸次充足困難となり、特に技術者や經験工に就ては自由募集の方法では容易に充足出來ないやうな狀態に立至り、國内の人的資源を最も合理的に配置統制して最大の能力を發揮せしむる必要性を加重するに至ったのであります。之が爲、政府に於ては國民登録制を首めとし、各種の勞務對策を實施中でありますが、要員の充足を絶對に必要とする場合に於ては、軍に官の職業紹介其の他自由意志を前提とする募集の方法等を以てしては到底國家の要求を充足することは困難でありまして、斯る非常の場合の措置として、徴用と云ふ强制権の發動に依り之が目的を達成しなければならないのであります。そこで、〇に國家總動員法第四條の規定に基く國民徴用令の公布を見、内地に於ては既に七月十五日より實施せられ、現に多數の被徴用者が俄然として總動員業務に従事しつゝある所であります。

而して、徴用は國民の自由を拘束する極めて重要なる意義を有する勞務奉仕の制度として、其の重要性に於て又名誉ある點に於て兵役の義務に準ずるものと云ひ得るのでありますが、我が朝鮮に於ては勞務資源の現狀より内地の其れとは多少趣を異にし、今直に徴用實施を不可避とするものではなく、寧ろ將來の體制に備ふる爲、今般制度の實施を見るに至った次第であります。乍然、徴用の發動は事前の豫測を許さず事態の推移に即應して緊急實施せらるべき性質のものでありますから、徴用せらるべき者は常に應じ得べき容易と覺悟を持ち、命令一下進んで國家に奉公すべきでありまして、現に事變勃発發以來、半島の示せる幾多愛國の精神は愈よ熾烈を加へ、志願兵の忠誠、愛國班の活躍等特筆すべき事項は枚舉に遑あらず、半島人が等しく皇國臣民として時局に協力しつゝある實情は誠に涙ぐましきものあり、眞に内鮮一體の實を𭢅げつゝある現狀でありますから、本制度の實施に就ても、必ずや時局を認識し國策の遂行に敢然参加し、豫期以上の効果を見るものと確信して疑はないところでであります。左に徴用令の概要を述ぶれば、

一、徴用の目的

國の行ふ總動員業務に従事せしむ爲であります。即ち、軍管理工場や生産力擴充計疊の遂行等の爲にも多数の勞務者が必要でありますが、前述の通り徴用は國民の自由を拘束する極めて重要な意義を持つ制度でありますから、差當り國の總動員業務に従事せしむる爲に限定せられて居ります。

二、徴用せらるべき者の範圍

徴用せらるべき者の範圍は國民職業能力申告令に依る要申告者に限定されて居りますから、未だ申告期限が到來せぬ爲登録を了られ、又令第二十二條該當者は特別の必要ある場合の外は徴用せざることゝなって居ります。

三、徴用の手續

徴用、徴用の變更及徴用の解除は朝鮮總督の命令を以て行ふものでありまして、其の命令は道知事に通達され道知事は之に基いて徴用令書、徴用變更令書及徴用解除令書を被徴用者個人に公布するものであります。被徴用者は或程度自由の拘束を受けるものでありますから、之が發動を成る可く制限すべきは勿論でありまして、實際の徴用に當っては徴用せらるべき者の住所、身體の狀態、家庭 の狀況、希望等を斟酌して、其の者の生活に與へる影響を出來るだけ少なくする 様努むるのであります。其爲、平素から徴用計畫を作成し置き、發動の場合は之 に基いて徴用豫定者を選定し、必要ある場合は豫め呼出して身體検査を行ひ、又 は事情を十分聽取して、厳正に斡旋の上、本人に無理のない様致すのであります。