大阪朝日新聞朝鮮版(昭和8年4月17日付)鮮人勞働者の密航激増

密航が内地で摘発、逮捕された事件であり、密航を募集、斡旋したのが朝鮮人か内地人かわからないが、密航船舶は内地漁船であることが判明している。船賃は1人5円である。他の事件の例も見ると、5円か10円という設定が多く、それが相場であったのだろう。

上陸地は佐賀県名護屋である。下関や博多といった正規ルートの港湾はもちろん使えないので、警備の目が届きにくい地方の漁港、特に上陸と上陸後の行動を目撃されないよう、すぐに鉄道などで立ち去れるような港湾を選ぶことになる。

内務省警保局の統計では、この年逮捕された密航者は1,808人であり、そのうち発動機船による密航は1,210人である。1,339人が朝鮮の在住地に送還されたが、156人は内地の目的地へ送られている。(森田芳夫『在日朝鮮人処遇の推移と現状』p40の表より)


Author
大阪朝日新聞朝鮮版
    Page 1

内地からの漁船警戒を慶南道警察部巖達

【釜山】鮮人勞働者の内地密航が最近急激に增加したので、朝鮮の玄闗口を預かる釜山水上署では巖重警戒を續けてゐるが、十四日夜慶南道昌原郡北面文谷里金太坤(二十二)ほか十二名が佐賀縣呼子署から送還されて來た。彼等は、十日夜馬山府海岸で内地漁船に一名五圓の乘船賃で便乘した佐賀縣名護屋海岸に上陸したのであるが、水上署に一日から今日までに檢擧された密航ブローカーは三十六件、五十七人で募集人員は六百五十名に達しているので、慶南道警察部では各道警察部に対して、内地から入港する漁船の巖重なる取締方をそれぞれ通牒した。