内地大陸間人員移動指導調整ニ関スル件

所蔵:国立公文書館・アジア歴史資料センター

 

「数字が語る在日韓国・朝鮮人の歴史」(森田芳夫、明石書店)では、「戦争の最終段階に、日本内の都市産業施設が空襲を受け疎開するものが多く、釜山まできた労務者の動員先の変更が相つぎ、さらに19453月には関釜、関麗連絡船が欠航状態になったために、420日の閣議には、『半島人労務者の新規内地招致は特殊事情あるものを除くの外、原則として当分見合はせしむること』(同19日次官会議決定『内地大陸間人員移動指導調整に関する件』)の一項が報告された」旨記されている。

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国立公文書館・アジア歴史資料センター
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一、内地大陸間人員移動指導調整ニ関スル件

内地大陸間人員移動指導調整ニ関スル件

(昭二〇、四、一九)

一、方針

戦局ノ様相竝食料需要ノ急迫ニ鑑ミ疎開及企業再整備ノ実施竝労務配置ノ調整ト照応シ内地及大陸方面ヲ通ジ左記要領ニ依リ人員移動ノ指導調整ヲ行ヒ現地ニ於ケル戦力ノ増強ニ資スルモノトス

二、要領

(一)(イ)朝鮮及満洲等ニ於ケル緊要工業等ニ付内地人要員ヲ増強スルコトヽシ疎開竝企業再整備ノ実施ニ伴ヒ能フ限リ之ガ送出補給ヲ行フコト

(ロ)企業再整備ニ伴ヒ諸工業ノ朝鮮及満洲等ヘノ移駐ヲ行フ場合ニ於テハコレガ工員等ヲシテ随行移駐セシムルコト

(ハ)満洲拓民等ノ縁故者等ハ努メテ満洲移住ヲ行ハシムル様指導スルコト

前項ノ縁故者等ニ付テハ罹災者疎開者等ヲ先トス

(二)支那ヨリノ引揚民ハ可及的ニ満洲及朝鮮ニ収容スルコト

(三)(イ)半島人労務者ノ新規内地招致ハ特殊事情アルモノヲ除クノ外原則トシテ当分見合ハセシムルコト

(ロ)華人労務者ノ新規内地移入ハ差当リ之ヲ見合スコト

三、送出人員ハ輸送ノ許ス限リ最大限ヲ目標トシ之ガ輸送ハ旅客船、貨物船ヲ問ハズ極力空船艘ヲ利用スルト共ニ船舶ノ運航能率ヲ阻害セサル様船待、乗船等ニ関スル施設■指導等ヲ周到ナラシムルコト

備考

送出人員ノ具体的内容及員数ハ別途関係省間ニ於テ協議決定スルコト