在日朝鮮人管理重要文書集

分類コード:II-03-01-001_II-03-01-002_II-03-01-003_II-03-01-004

      II-03-01-005_II-03-01-006

発行年:1978年

 

1945(昭和20)年から1950(昭和25)年の間に、連合国総司令部が発した日本在住の朝鮮人・台湾人・中国人・北緯30度以南の南西諸島人の取扱・管理についての指令・発表等を収録。原本は1950年に外務省政務局特別資料課が作成し関係各所に配布した非売品。

著作者:
外務省政務局特別資料課
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『在日朝鮮人管理重要文書集1945-1950』(外務省政務局特別史料課 1950 湖北社復刊)

 

 

12.朝鮮人の地位及び取扱に関する総司令部渉外局発表

昭和21年11月12日

 

 日本にいる朝鮮人で総司令部の引揚計画に基いてその本国に帰還することを拒絶するものは,正当に設立された朝鮮政府がかれらに対して朝鮮国民として承認を与える時まで,その日本国籍を保持しているものとみなされる,と本日総司令部係官が述べた.

 いかなる朝鮮人も引揚のために呼出をうけたとき引揚援護局に出頭しなければ,それがその者の力に及ばない事情に因るものでない限り,その不出頭は拒絶と解される,と引揚係官は述べた.そのような拒絶によって,日本と朝鮮との間の正常な商業輸送が再開される時までその引揚の特権を失う.

 帰国を拒絶する朝鮮人は,またかれらが関係する日本の刑事裁判手続について占領官憲の審査を受ける権利を失う,と附言された.

 

 

 

13.朝鮮人の地位及び取扱に関する総司令部民間情報教育局発表

昭和21年11月12日

 

 日本にいる朝鮮人で連合国総司令部の引揚計画に基いてその本国に帰還することを拒絶するものは,正当に設立された朝鮮政府がかれらに対して朝鮮国民として承認を与える時まで,その日本国籍を保持しているものとみなされる,と本日総司令部係官が警告した.

 いかなる朝鮮人も引揚のために呼出をうけたとき引揚援護局に出頭しなければ,それがその者の力に及ばない事情に因るものでない限り,その不出頭は拒絶と解される,とスポークスマンはいった.そのような拒絶によって,その者は,日本と朝鮮との間の正常な商業輸送が再開される時までその引揚の特権を失う.

 拒絶することによって,この朝鮮人は,占領官憲による日本の裁判手続の審査を受ける権利をも失う,と総司令部係官は,附言された.去る2月出された連合国最高司令官指令の条項に基いて,朝鮮人及び従前日本の支配の下にあった他の国の国民でその本国に帰還する意思を有することについて適当な証拠を提供するものに対して日本の刑事裁判所が下した判決は,連合国最高司令官又はその指名する代理者による審査及び他の措置に服している.

 このような最高司令官の審査の結果として,刑の執行中止,不承認,停止,酌量減刑,全部若しくは一部の免除又は減刑が行われることがあろう.いかなる場合においても,日本の裁判所の判決が,加重されることはない.

 

 

 

14.朝鮮人の地位及び取扱に関する総司令部渉外局発表

昭和21年11月20日

 

 日本における朝鮮人の地位及び取扱に関してある種新聞に最近現れている誤解は,明らかにする必要がある.

 占領の初期から,米国の,後には連合国の政策決定に従って,朝鮮人に対して解放国民としての待遇を与え且つその福祉のため可能なあらゆることをすることが占領官憲の政策であった.政治上の理由で拘禁されている者を刑務所から釈放し,事実上奴隷的労働者であった者を解放するため,速やかに措置が執られた.引揚計画が発議され,今日までに,不法に日本に再入国して再び送還された14,000名以上を含まずに,919,000名以上がその本国に帰還した.いま約600,000名の朝鮮人が日本にいるが,そのうち約75,000名が引揚を請求している.日本官憲は,朝鮮人がどのようにも差別待遇されないように厳重な訓令を受け又,占領官憲はこれらの指令が完全に実施されるのを確めるためたえず努力を払っている.

 警察官憲によって,罪を犯したとして告発された朝鮮人は,占領官憲によるその訴訟事件の審査によってさらに保護が与えられている.不法ヤミ取引又は他の犯罪活動に従事する他のすべての者に対すると同様に朝鮮人に対してももちろん,訴追が行われている.

 この司令部が昭和21年12月15日より後に日本に残留する朝鮮人は日本の市民権を獲得しなければならないという命令を最近出したという新聞報道は,まったく不正確である.占領官憲は,市民権の保持,放棄または選択に関するいかなる国籍のいかなる者の基本的権利にもどのようにも干渉する意図を有しない.昭和21年10月16日付で,この司令部は,日本にいる朝鮮人で従前北緯38度以南の居住者であったものの引揚は引揚計画にしたがうことをすでに拒絶した者を除いて昭和21年12月15日以前に完了すべき旨を述べた覚書を日本政府に対して発した.引揚を拒絶してこの国に留ることを選んだ朝鮮人は,日本に引き続き居住すればかれらがすべての適当な地方的の法律及び規則に服しなければならないということを充分承知の上で選択するのである.適当な地方的の法律及び規則の遵守の義務を朝鮮人に免除するような在日朝鮮人に有利な差別待遇は,一種の治外法権を創造することになるであろう.これは,いかなる観点からも是認されないであろうし,又,他の諸国において治外法権のこん跡を廃止しようとする最近数年間の諸連合国政府の行動に照して,連合国の一般政策に反するものであろう.

 

 

 

36.朝鮮人に対する刑事裁判管轄権及び朝鮮人の引揚に関する総司令部民間情報教育局発表

                              昭和21年3月26日

 総司令部スポークスマンによれば,日本にいる朝鮮人は,日本における中立国人と同様,刑事法を含む日本の法律に服している.これらの朝鮮人及び従前日本の支配の下にあった他の国の国民で帰国の希望を表示したものは,かれらに対する差別待邁があった訴訟に関して,日本の刑事裁判所から占領官憲に上訴することができる.このような上訴は,日本の法律の下におけるすべての合理的な救済手段が尽されて後はじめて行いうるものである.

 これらの法律事実及び引揚規則は,総司令部係官と在日朝鮮人諸団体の指導者との最近の会合において明らかにされた.

 日本政府の費用で引き揚げる最後の機会を利用するためには,朝鮮人は3月18日までに日本政府に:登録しなければならなかった.すべての朝鮮人は登録を要求され,登録に際しては引揚の希望の有無を述べなければならなかった.登録が完了し,この問題が研究された後,最高司令部は引揚が達成される手続を決定して,それから日本帝国政府に対して,日本帝国政府がその計画を実行する方法を指令するはずである.

 それ故,引揚を希望する者は,日本政府が指示する時期に出発しなければならない..これら3つの要求のいずれの1つの履行が欠けても,日本政府の費用による引揚の特権は失われる.そして,そのような者は,商業輸送の便宜が可能となるまで待たなければならないであろう.

 そのような規則は,日本政府が有効な引揚計画を樹て,且つこれを実行することができるようにするために:必要である,と指摘された.

 この会合に出席した朝鮮人は,かれらの同国人に対して,日本政府の計画の下に引き揚げることが,唯一の公式且つ安全な方法であることを,警告するよう要請された.

 日本から朝鮮への送金の正常の便宜がないためと朝鮮における通貨の流通を統制する必要上.朝鮮人引揚者は,1,000円をこえない通貨を持ちかえることができる.かれらは,また日本及び朝鮮で発行された預金通帳,保険証券並びに日本における銀行発行の小切手,手形及び預金証書を持ち帰ることができる.朝鮮人引揚者の所有する残余財産は,所有者の希望するいかなる形においても日本に残されることができ,その残余竿山野は,連合国最高司令官の封鎖指令によって保護されるであろう.引揚者の朝鮮へのすべての資企の移動は,二国間に正常の金融上の便宜が設けられたときに,取り計らわれるであろう.

 

 

 

16.朝鮮人,中国人,琉球人及び台湾人の登録に関する総司令部覚書

 

AG 063(21年2月17日)GC

(SCAPIN 746)                     昭和21年2月17日

覚書あて先 日本帝国政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 朝鮮人,中国人,琉球人及び台湾人の登録

 1. 日本帝国政府は,日本に居住するすべての朝鮮人.中国人,琉球人及び台湾人を昭和21年3月18日までに登録することを要する.

 2.登録は,次のことを含むことを要する.

  い.氏名

  ろ.年令

  は.性別

  に.本国における住所

  ほ.日本における住所

  へ.職業

  と.引揚についての希望の有無

  ち.引揚希望者は,その本国における行先地

  3.引揚を希望しないと登録したものは,引揚の特権を失う.

4.登録の通知を受けて指定時に又はそれより前に登録を怠るものは,引揚を希望しないとみなされて,引揚の特権を失う.

 5.日本帝国政府は,登録が完了したならば.次の情報を当総司令部に報告することを要する.

  い.日本に居住する朝鮮人,中国人,琉球人及び台湾人の総数.

  ろ.引揚希望者の各国別の員数.

  は.引揚希望の朝鮮人総数は,さらに次の項目に分けることを要する.

    (1)北鮮(北緯38度以北の朝鮮)が引|揚先である者の総数.

    (2)北緯38度以南の朝鮮が引揚先である者の総数.

  に.引揚希望の琉球人総数は.さらに各引揚先の島に分けてその総数を示すことを要する.

  ほ.引揚希望の中国人総数は,さらに華北,華中,華南をそれぞれ行先地とする者の総数を示すことを要する.

6.日本帝国政府は,登録に先だって及び登録の際に重ねて次のことを朝鮮人,中国人,琉球人及び台湾人に対して通告することを要する.

  い.この登録は,かれらの引揚に対する希望の有無を決定するために行われること.

  ろ.登録を怠ることは引揚の特権を失う理由となること.

  は.引揚を希望する旨登録する者は日本政府の発する指示に従って引揚を行わなければならず,さもないと,引揚の特権を失うこと.

  に.日本に残留することを希望する旨登録する者は.引揚の特権を失うこと.

 

 

 

17.日本における非日本人の入国及び登録に関する総司令部覚書

 

AG 053(21年4月2日)GA

(SCAPIN 852)                      昭和21年4月2日

覚書あて先  日本帝国政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 日本における非日本人の入国及び登録

 1.占領軍に属さない非日本人が,時時日本入国の許可を与えられることがあるであろう.これらの者は,半牟永久的に日本に:居住するであろう.

外国に日本の領事が駐在せず,従って査証を受けることができないために,合法的入国及び居住の手続を設定することが必要となる.

 2.次に述べる手続において,日本帝国政府が,日本側としての処置を実施することが希望される.

  い.この司令部は,入国を許可された者に対して.その許可を通告し,査証の要求は放棄されるが,かれらが日本へ到着の上は,登録のために日本の内務省に届け出るべきことを知らせる.

  ろ.日本帝国政府は,前記いに記されたところによって入国を許可された者の氏名を:提供されるであろう.

  は.これらの者が内務省に届け出たならば,日本帝国政府は,これを登録し,身分証明書その他日本国内居住を合法化するに必要な書類を交付する.

 

 

 

33.鉄道利用の台湾人及び朝鮮人の取締に関する総司令部覚書

 

AG 091(21年4月4 日)GS

(SCAPIN 912-A)                    昭和21年4月4日

覚書あて先 日本帝国政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 鉄道利用の台湾人及び朝鮮人の取締

1.昭和21年2月4日付終戦連絡中央事務局覚書538/13参照.

 2.日本政府は,日本の鉄道を利用する台湾人及び朝鮮人を取り締る完全な権限を:有する.この権限は,昭和 21 年2月19日付の総司令部覚書SCAPIN 756 AG 015 (21年2月19日)LS,件名,「刑事裁判管轄」及びSCAPIN 757,「朝鮮人及び他の特定国人に対する判決の審査」に:規定されている制限にだけ服する.

 3.完全な権限を行使して,日本の鉄道の治安と秩序の維持を確保することは,日本政府の責任である.

 4.鉄道の駅にいる米軍警備兵の増員についての日本政府の要請は,考慮できない.

 

 

 

34.朝鮮人の不法行為に関する総司令部覚書

 

AG 250.1(21年4月30日)

(SCAPIN 1111-A)                  昭和21年4月30日

覚書あて先 日本帝国政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 朝鮮人の不法行為

 1,昭和21年3月13日付終戦連絡中央事務局覚書1186(1部3課)参照

2.日本政府は,列挙されている暴行を働く朝鮮人を取り締る完全な権限を有する.昭和21年4月4日付日本帝国政府あて覚書AG 091(21年4月4日)GS,(SCAPIN 912-A),件名,「鉄道利用の台湾人及び朝鮮人の取締」に記載されているこの権限は,貴終戦連絡中央事務局覚書1186(1部3課)に述べられている暴行にも適用される.

3.暴行を働く朝鮮人又は他の者から取り上げた拳銃,日本刀又は他の武器は,第8軍司令官の権限ある代理人に引き渡すことを要する.

 

 

 

37.日本人及び非日本人の引揚に関する総司令部覚書(抄)

 

AG 370.05(21年5月7日)GC

(SCAPIN 927)                     昭和21年5月7日

覚書あて先 日本帝国政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 日本人及び非日本人の引揚

 1.この覚書は,次の者の引揚を規律する基本的指令である.

  い.次の者の軍管理下にある地域からの日本人

     米国太平洋陸軍部隊最高司令官

     太平洋地域最高司令官

     中華民国陸軍大元帥

     東南アジア連合国軍最高司令官

     オーストラリア軍最高司令官

     ソ連極東軍最高司令官

      (適当な協定が成立した場合)

  ろ.以前に:,中国,台湾,朝鮮及び琉球諸島の住民であって,日本に移動させられたもの.

 2.この覚書の附属Ⅷにあげてある覚書及び無線電報に含まれている従来の指示は,この指令によって代えられる.

 3.将来,前記第1項にあげられている地域からの引揚及び同地域への引揚に関するすべての一般的指令は.できる限り,この覚書の追加又は修正の形式で日本帝国政府に対しで発せられる.

 4.日本帝国政府は,この覚書の附属に含まれている諸指示を米第8軍司令官の監督の下に,遂行することを要する.

附属

 附属Ⅰ 旧日本占領地域内日本人の引揚及び非日本人の日本からの引揚に関する一般方針

 附属Ⅱ 引揚者処理のための日本国内引揚援護局

 附属Ⅲ 日本からのり引揚及び日本への引揚

 附属Ⅳ 補給及び輸送

 附属Ⅴ 医療上及び衛生上の手続

 附属Ⅵ 通貨,有価証券並びに他の証書類及び財産

 附属Ⅶ 雑

 附属Ⅷ 覚書の廃棄

         

             附 属 Ⅰ

  旧日本占領地域内日本人の引揚及び非日本人の日本からの引揚に関する一般方針

 次の方針は,旧日本占領地城内日本人の引揚及び非日本人の日本からの引揚に適用される.*

 6.引揚用艦船による輸送は,日本側の引揚計画によって日本に向う者及び日本より退去する者,又はその他連合国最高司令官によって,特例として認可された者に限られる.

 7.本国に引き揚げた非日本人は,連合国最高司令官によって認可された場合以外は,商業上の便宜の得られる時期まで,日本に帰還することは許されない.

 

*本附属及び本覚書全般を通じて使用されている「非日本」という語は,中国人,台湾人,朝鮮人及び琉球人のみを含む.(原注)

 

             附 属 Ⅲ

        日本からの引揚及び日本への引揚

           第1節 一般計画

 1.

  は.この計画において,引揚希望の登録をし,しかも引揚者収容所に移動するに当り,日本帝国政府の計画に従うことを拒絶する非日本人は,その引揚に対する特権を失い,将来のいかなる引揚計画においても考慮されない.そのような人々の目録は,日本帝国政府により保管されなければならない.

 

           第2節 朝鮮人の引揚

 8.次の計画が朝鮮人の引揚を規律する.

 9.船舶輸送

  い.日鮮間往復輸送

    日鮮聞往復の日本の引揚船による近距離輸送は,毎日次の人数を処理できるよう割り当てられる.

        当初       昭和21午5月5日までに

     博多 1,500       3,000

     仙崎  500       1,000

  ろ. 日本一朝鮮―中華民国間の往復輸送

    上海,博多間を往復する特定日本船舶に釜山で下船する朝鮮人を博多で乗船させることができる.

 10.日本以外から引き揚げる朝鮮人の処置

  い.以前に北緯38度以南の朝鮮に居住していたもので現在日本にいる朝鮮人の引揚は,昭和21年9月30日又はそれ以前に完了しなければならない.

  ろ.朝鮮人は,次に指示する毎日の割合で次の諸港から釜山へ輸送しなければならない.

当初       昭和21年5月5日までに

     博多 1,500.      3,000

     仙崎  500      1,000

     合計 2,000      4,000

 右の当初における一日の処理率は,これを次第に増加して昭和21年5月5日までに規定の率に達するように保証しなければならない.その後は,帰国を希望する朝鮮人のすべてが日本から残りなく引き揚げるか,又は引揚の特権を失うまで継続される.右を確実にするために,引揚援護局には充分の朝鮮人を待機させておくことを要する.

 11.北緯38度以北の朝鮮への引揚

 北鮮への引揚は,適当な協定が成立するまで見合わせる.北鮮行の朝鮮人は,北鮮への引揚可能となる時まで日本にとどめる.

 12.朝鮮人囚人の引揚

  い.日本帝国政府は,非軍人の朝鮮人囚人を,その服役期間労役に服し,正当に,釈放されるまでは,引揚げさせない.但し,これは,日本政府の恩赦又は減刑の権利を少しでもおかすものと解釈されてはならない.

  ろ.前記は,昭和21年2月19日付連合国最高司令部覚書AG 015(21年2月19日)LS,「SCAPIN 757」,件名「朝鮮人及び他の特定国人に対する判決の審査」の規定に従わなければならない.

         第3節 台湾人の引揚

 13.次の計画が台湾人の引揚を規律する.

 14.船舶輸送

 フィリピン諸島又は東南アジア連合軍最高司令官若しくはオーストラリア軍の管理する地域行の指定船舶に空所のあるときは,台湾で下船する台湾人を収容することを要する(第4項ろ参照).

 15.日本諸港を経由する台湾人の処置

 日本からの引揚を希望する台湾人は,日本人乗組の船舶で退去するため,昭和21年5月5日から11日の1週間に,呉地区引揚援護局に集合することを要する.

      第4節 琉球への及び琉球からの引揚

 16.次の計画は,日本から琉球諸島への琉球人の引揚及び日本人の琉球から日本への引揚を規律する.

 17.琉球人の日本からの引揚

  い.琉球諸島へのすべての引揚は,追って指示あるまで停止される.

  ろ.日本帝国政府は,貧困な琉球人避難者に対して,充分な食糧,住居,医療処置,寝具及び衣料を支給しなければならない.

          

             附 属 Ⅵ

        通貨,有価証券並びに他の証書類及び財産

 1.厚生省は,現在内地に引揚中の日本人及び各本国に引揚中の中国人,台湾人,朝鮮人及び琉球人の処理に関して,次に掲げる措置を実施しなければならない.

 3,日本から本国へ引き揚げる朝鮮人,中国人,台湾人又は琉球人の処理に際し日本帝国政府は,

  い.一人当り1, 000円以下の円通貨携行を許可すること.

   (1)中国人,台湾人及び琉球人は日本銀行通貨を携行のこと.

   (2)日本帝国政府は,朝鮮人に対し,朝鮮銀行通貨を一対一の基準で,日本銀行通貨に兌換すること.

  ろ.朝鮮人及び中国人に対しては,次の物件を通貨以外に持ち帰らせること.

   (1)日本及び引揚先国の金融機関が発行した郵便貯金通帳及び銀行預金通帳.

   (2)日本及び引揚先国で発行した生命保険証券

   (3)日本国内の金融機関が発行して,日本国内で支払われるべき小切手,手形及び預金証書は.衣類及び所有者だけに価値のある動産の携行を許可すること.これらの動産は,一人当り重量にて250ポンドに:制限される.日本帝国政府は,引揚計画予定を遅らせることなく,この追加手荷物を処理するに必要な措置を講じなければならない,

  に.(1)各人から領収書引き換えに次の物件を取り上げること.

(い)前記第3項い,記載の額を超過するすべての他の通貨と円通貨.

引換朝鮮人が携行するすべての日本銀行通貨は取りまとめられ,朝鮮銀行通貨と交換に受け取られる額を超過するすべての通貨に対しては,各個に領収書が発行される.(前記第3項い(2)及び昭和21年3月30日付連合国総司令部覚書AG091. 31(21年3月30日)ESS/FI ,(SCAPIN-854-A),件名,「帰国朝鮮人に対する通貨の交換」参照)

(ろ)金塊,銀塊,白金塊及び塊状になっているこれら金属の合金

(は)前記第3項 ろ に明記した以外の小切手,手形,為替手形,有価証券,約束手形,支払命令書,譲渡指図書又は他の金融証書類.

(に)日本内地又は外地での金融若しくは財産処分の委任権,代理権又は他の許可証若しくは指図書.

(ほ)前記第3項 ろ に特に記載した以外,特別の指定のないすべての負債証拠物件又は財産所有証拠物件.

(へ)美術品及び所有者以外の者にとっても価値のある動産及び前記第3項 は に規定された限度を超える私有物.

(2)個別の領収書と引換に押収した物件は.連合国最高司令官から追って指示あるまで安全に保管することを要する.

 

注意

附属3の第1節の1にある空白について、SCAPIN927原文によれば「現在実施中の日本への及び日本からの送還を規定する計画は、連合国最高司令官から他の指令のない限り継続する」「本計画は引揚援護局の使用、利用可能な船舶及び鉄道輸送に適合する数量で引揚援護局を通しての送還者の出入に関するものを包括するものである」という意味の2項が本来存在する。ここでは原史料通り空白のままにした。

 

 

 

39.朝鮮への及び朝鮮からの引揚に関する総司令部覚書

 

AG 014.33(21年8月8日)GC

(SCAPIN 1113)                    昭和21年8月8日

覚書あて先 日本帝国政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 朝鮮への及び朝鮮からの引揚

 1.次の覚書を参照すること

  い.昭和21年5月7日付連合国総司令部覚書 AG 370.05(21年5月7日)GC,(SCAPIN 927),件名,修正「日本人及び非日本人の引揚.」

  ろ.昭和21年6月27日付運合国総司令部覚書 AG 014.33(21年6月27日)GC,(SCAPIN 1039),件名,「朝鮮への引揚.」

  は.昭和21年7月27日付連合国総司令部覚書,AG 014.33(21年7月27日)GC,(SCAPIN 1088),件名,「朝鮮への引揚.」

 2.前記参照覚書に含まれこの覚書に抵触する一切の指示事項は,ここに削除する.

3.昭和21年8月10日以降,北緯38度以南の朝鮮にある故郷への帰還を希望する在日朝鮮人の引揚は次の計画に従う.

 4.北緯38度以南の朝鮮に以前住んで居た在日朝鮮人の引揚は,前記第1項いの参照覚書附属Ⅲ第1項 ろ に記されている場合を除き,昭和21年11月16日又はそれより前に完了しなければならない.

 5.い.引揚船舶は,日本の博多から,朝鮮の釜山へ1日4,000名の朝鮮人を送り出すよう配船されている.これらの船舶は,空のまま日本へ帰港することを要する.

ろ.船舶は,朝鮮から佐世保に日本人を送り出すに必要な場合配船すること.

6.日本帝国政府は,次の措置をとらねばならない.

  い,前記第5項いに規定されている割合で引揚者を確実に求め得られるよう博多引揚援護局に充分の朝鮮人を待機させること.

  ろ.朝鮮から日本に帰着する日本人引揚者を参照覚書前記第1項いに規定されているとおり収容処理すること.

  は.朝鮮から佐世保に帰港するすべての船舶については,前記第1項いの参照覚書の附属Ⅴ,第3項ろ(2)の規定どおり処置すること.

  に.前記第1項いの参照覚書附属Ⅲ第1項はの規定に引き続き従ラこと.

  ほ.昭和21年11月30日までに連合国最高司令官に対し次の.ことを明らかにする報告書を提出すること.

(1)前記第1項い参照覚書附属Ⅲ第1項に述べられているとおり,昭和21年11月15日又はそれより前に引き揚げなかったがしかし引揚の特権を喪失していない朝鮮人の家族別名簿.

(2)前記第6項ほ(1)に述べられた各家族が博多引揚援護局に移動しうる大体の日時.いかなる場合でも,昭和21年12月31日より後には引揚の延期は許されない.

 

 

 

40.朝鮮への引揚に関する総司令部覚書

 

AG 014. 33 (21年10月16日)GC

(SCAPIN 1273)                    昭和21年10月16日

覚書あて先 日本帝国政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 朝鮮への引揚

 1.次の覚書を参照すること.

  い.昭和21年5月7日付連合国総司令部覚書 AG 370.05(21年5月7日)GC,(SCAPIN 927),件名,修正「日本人及び非日本人の引揚.」

  ろ.昭和21年8月8日付連合国総司令部覚書 AG 014.33(21年8月8日)GC,(SCAPIN 1113),件名,「朝鮮への及び朝鮮からの引揚.」

  は.昭和21年9月26日付連合国総司令部覚書 AG 014.33(21年9月26日)GC,(SCAPIN 1230),件名前記と同一.

 2.前記第1項は参照覚書の規定は取り消す.昭和21年10月17日以後,北緯38度以南の朝鮮にある故郷に帰還を希望する在日朝鮮人の引揚は,前記第1項い及びろの参照覚書に規定されているとおり再開する.

 3.北緯38度以南の朝鮮に以前住んでいた在日朝鮮人の引揚は,前記第1項い参照覚書附属Ⅲ第1項はに記されている場合を除き,昭和21年12月15日又は.それより前に完了されなければならない.前記第1項い参照覚書附属Ⅲ第9項い,及び前記第1項ろ参照覚書第4項及び第6項ほはここに修正する.

 4.コレラ検疫期間を満了し,現在佐世保引揚援護局に留められている不法入国朝鮮人と日本から朝鮮へ送り出すため興安丸を指定する.

 5.日本帝国政府は,次の措置をとらなければならない.

  い.博多引揚援護局を通じ朝鮮人の引揚を再開すること.

  ろ.不法入国朝鮮人を興安丸に乗船させること.

  は.米国陸軍第8軍司令官又はその代表者により指令されたとおり興安丸に所要の日本人警察官を警備として手配すること.

 

 

 

41. 日木からの集団引揚の柊了に関する総司令部覚書

 

AG 014.33(21年12月19日)GC

(SCAPIN 1414)                    昭和21年12月19日

覚書あて先 日本帝国政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 日本からの集団引揚の終了

 1.次の覚書を参照すること.

  い.昭和21年5月7日付日本帝国政府あて覚書,AG 370,05(21年5月7日)GC,(SCAPIN 927〕,件名,「日本人及び非日本人の引揚」

  ろ.昭和21年7月24日付日本帝国政府あて覚書,AG 014.33(21年7月24日)GC,(SCAPIN 1081),件名,修正「現に日本にいる琉球人の引揚」

  は.昭和21年10月16日付日本帝国政府あて覚書,AG 014.33(21年10月16日)GC,(SCAPIN 1273),件名,「朝鮮への引揚」

  に.昭和21年12月16日付日本帝国政府あて覚書,AG 014.33(21年12月16日)GC,(SCAPIN 1407),件名,前記と同一

 2.前記1 は 参照覚書の規定に基く北緯38度以南の朝鮮各地への日本からの朝鮮人集団引揚は,昭和21年12月15日に完了した.

 3.前記1 ろ 参照覚書の規定に基く北緯30度以南疏球諸島各地への日本からの琉球人集団引揚完了期日は,昭和21月12月26日と公表されている.

 4.日本帝国政府は,次のことをすることを要する.

  い.(1)前記1は参照覚書の規定に基いて引揚の資格をもち,しかも,昭和21年12月15日より後に博多引揚援護局に到着する北緯38度以南の朝鮮への引揚者を,昭和21年12月27日まで傅多引揚援護局に収用処理すること.

   (2)すべての資格ある引揚朝鮮人を遅くも昭和21年12月28日まで連合国最高司令官の提供する船舶によって博多引揚援護局から送り出すこと.

  ろ.(1)昭和21年12月22日までに前記1ろの規定に基いて引揚の資格を有する琉球諸島への引揚者を名古屋,呉,鹿児島及び佐世保所在の引揚援護局に収容処理すること.

   (2)すべての資格ある引揚疏球人を遅くも昭和21年12月28日までに,連合国最高司令官が提供する船舶によって名古屋,呉,鹿児島及び佐世保保引揚援護局から送り出すこと.

 

 

 

42.ソ連及びソ連管理地域からの日本人の引揚並びに日本からの朝鮮人の北緯38度以北の朝鮮への引揚に関する総司令部覚書

 

AG 014.33(21年12月26日)GC

(SCAPIN 1421)                    昭和21年12月26日

覚書あて先 日本帝国政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 ソ連及ソ連管理地域からの日本人の引揚並びに日本からの朝鮮人の北緯38度以北の朝鮮への引揚.

 1.昭和21年5月7日付連合国総司令部修正覚書AG 370.05(21年5月7日)GC,(SCAPIN 927),件名,日本人及び非日本人の引揚」参照.

 2.い.ソ連及びソ連管理地域からの日本人の引揚は,1月約50,000人の割合で即時開始する.引揚者は,一般に次のように日本の引揚援護局を通じて処理される.

引揚地域         日本国内の港

 樺太及び千島列島      函   館

 シ ベ リ ア       舞   鶴

 北鮮及び旅順地区      佐 世 保

   ろ.日本にいる北鮮人10,000人以内の引揚は.昭和22年3月9日から15日までの期間中に実施される.この10,000人は,北緯38度以北の朝鮮に生れたことを条件として昭和21年3月16日より前に帰国希望の旨を登録した9,701名の朝鮮人,及び北鮮に生れ且つ昭和21年3月18日より前に登録しなかった者,又はその後に意思を変更した帰国希望の他の朝鮮人を含む.前記第1項の参照覚書の規定は,次の条項を除いて適用される.

    (1)携帯荷物の持込は,次のとおり許可する.

     (い)衣類,身廻用品及び所有者のみに価値のある家財で1人当り200キログラムを超えないこと.

     (ろ)全重量1,000キログラムを超えず,昭和20年9月2日又はそれより前に日本において公然所有されすべての留置権及び債務から完全に解放され又かれらの職業又は個人的経営業務の運営にあたり使用された工具,軽機械及び事業設備品.

    (2)各個人の携行する手荷物を除き,前期第2項ろ(1)に記載されている品目の運送費は,関係個人の負担とする.引揚の許可を得ていない朝鮮人は,その財産を運送することを許可されない.

    (3)規定の免疫措置の上に,各引揚者に対しチブス・ワクチンの注射を施すことを要する.

    (4)次の疾病を持つ者は,引揚船に乗船させてはならない.

    チブス及びパラチブス,ペスト,発疹チブス,天然痘,コレラ,再帰熟,日本性B脳炎,肺炎,インフルエンザ,ヂフテリヤ,猩紅熱,水疱瘡,はしか,百日咳,耳下腺炎,脳脊髄膜炎,脊髄灰白質炎,脳炎A,及び流行性出血熱.

    (5)次の疾病を持つ者は,引揚船に乗船させることができるが,連合国最高司令官にその旨を通告し,朝鮮までの途中適当な監督をつけなけれぱならない.アミーバ赤痢,バチルス赤痢,小腸炎又は下痢,マラリヤ,カーラアザール熱,肺結核,肋膜炎,液状熱    及び花柳病.

 3.日本帝国政府は,次のことをすることを要する.

  い.前記第2項いに記載されている引揚日本人に関しては,

    (1)乗船第1日にチブス・ワクチンの第1回注射を必ず実施するよう必要な準備をすること.

    (2)日本の引揚援護局に到着と同時にチブス・ワクチンの最終注射を行うこと.

    (3)前記第1項参照覚書に含まれている指示に従って引揚者を処理すること.

    (4)引揚者がソ連当局が支給した許可された衣類及び装具を保持することを許すこと.

ろ.引揚者に対して,ソ連当局が支給した物品の表を船長より集めそしてこれらの表をおって指示あるまで,安全に保管すること.

  は.前記第2項ろに記載されている朝鮮人引揚者に関して,

    (1)引揚者が佐世保引揚援護局に到着すべき期日と,かれらが自費で持ち帰ることを許可された手荷物及び装具の数量について直ちに各府県に対しできる限り広く知られるよう発表すること.

    (2)帰国申請者の総数が10,000人を超えるときは.10,000人を超える人数の引揚を交渉することを得しめるため,昭和22年2月28日までに連合国最高司令官に通告すること.

    (3)前記第2項ろ(1)に記載されている財産の運送に関しては,第8軍司令官により編成された細目手続に従って,同司令官によって割り当てられた所要任務を遂行する準備をすること.

    (4)引揚者を昭和22年2月23日から3月9日までの間に佐世保引揚援護局に移し,前期第2項ろによって修正された,前記第1項の参照覚書の規定に従って処理すること.

    (5)連合国最高司令官の指定する船舶をもって昭和22年3月9日から15日までの間に10,000人を超えない朝鮮人を送り出すこと.なお,次の各項を確実にするため必要な手配をすること.

     (い)前記第2項ろ(1)に明記されている各引揚者の手荷物,工具,機械及び設備品は全部各引揚者の乗船する同一の船に積み込むこと.

     (ろ)佐世保引揚援護局係官は,乗船者名簿の写5通及び移管書類(別紙第1書式)の写2通,いずれも英文で書かれたものを船長に手交すること.

     (は)朝鮮人を帰還させる各船舶の船長は,

       1.上陸港において乗船者名簿の写4通をソ連当局に手交すること.

       2.乗船者の上陸及び荷物の陸揚がすんだ上,

         い.ソ連当局とともに移管書類(別紙1)の写2通に署名すること.

         ろ.ソ連当局に移管書類の写1通を手交すること.

       3.署名した移管書類及び乗船者名簿の各の写1通を航海日誌の一部とすること.

  に.往復の航海に要する食料及び燃料を積み込み,なお不時の遅延に備えて充分な燃料,飲料水及び食料を準備すること.

  ほ.引揚船の船長が次のことを行うことを確実に:するに必要な措置を執ること.

    (1)ソ連及びソ連管理地域にある陸上又は船舶無電局と通信するときは英語を使用すること.

    (2)ロシア語で書かれた乗船者名簿及び移管書類に従ってソ連当局から引き渡される日本人引揚者の管理を引き受けること.

    (3)ソ連当局から提出された移管書類を確かめた上これに署名すること.

    (4)船舶及び補給物資に対する万一の損害を避けるため昼間にソ連及びソ連管理地域内の集合地及び港に到着するよう特に警戒手段をとること.

    (5)ソ連及びソ連管理地域内の集合地及び港への到着予定時刻を到着6時間前に,ソ連又はソ連管理港内にある無電局に報告すること.

    (6)まったく緊急やむを得ず,且つ船舶の航海能力又は乗船者及び乗組員の安全が物資又は修理を受けなければ危険となるような場合を除き,ソ連又はソ連管理港においてそのような物資及び又は修理を受けないこと.

    (7)移管書類の写を(前記第3項ほ3)参照)ソ連当局から交付された時は,航海日誌の1部とすること.

    (8)前記第3項ほ2)に引用されている引揚者の表が1通だけソ連当局から交付されたときは,引揚援護局に提出する.1通以上の交付を受けたときは,1通を航海日誌の一部とし,余った写を,引揚援護局当局に提出すべきこと.

へ.ソ連及びソ連管理地域内の港から出されるすべての航海通報はロシア語が用いられるべきことを船長に:通知すること.

 4.朝鮮人所有財産の運送に関しては,第8軍総司令宮と日本帝国政府の直接交渉を許可する.

 5.前記第1項の参照覚書の規定のうち,この覚書中の指示事項と背馳するものは,この覚書に従うよう修正する.

1.添付書類 移管書類

      

             引揚者移管書類

 昭和22年(日付),朝鮮人引揚者(員数)及びその個人の手荷物,工具,機械及び設備品は,港(港名)においてソ連当局の管理に移された.すべての引揚者は,連合国最高司令官とソヴィエト社会主義共和国連邦の対日理事委員会との間になされた協定に従って検疫上の処理を完了した.

                   船長氏名

                   船名

 引揚者及びその身廻用品を受領した.

                   ソ連官憲氏名

                   官名

 

 

 

43.非日本人の引揚に関する総司令部覚書

 

AG 014.33(22年2月14日)GA

(SCAPIN 1527)                    昭和22年2月14日

覚書あて先 日本帝国政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 非日本人の引揚

 1.昭和21年5月7日付日本帝国政府あて覚書,AG 370.05(21年5月7日)GC(SCAPIN 927),件名,修正「日本人及び非日本人の引揚」参照.

 2.まだ日本にいる非日本人で引揚の資格があり且つ引揚を希望する者の引揚を完了するため,また日本を経由して引き揚げつつある非日本人の乗継輸送を果すため次の諸手続が遵守されなければならない.

  い.現在日本にあって且つ引揚の資格のある琉球人,中国人,台湾人及び北緯38度以南の朝鮮に帰国する朝鮮人は,佐世保引揚援護局に集合の上乗船処置を実施し,航海に関する指示があるまで佐世保引揚援護局にとめておくこと.

  ろ.乗継輸送のため日本に到着する引揚者は,佐世保引揚援護局に受け入れ保護を加え集合させた上乗船処置を実施,乗継航海の手配ができるまで佐世保引揚援護局にとめておくこと.

  は.引揚者は,指定に従って乗船させること.

 3.出国引揚者は,しばしば小群団をなしていることが予想されるにかんがみ,引揚業務に正当に割当てられた以外の船舶を利用する必要があるであろう,そのような場合には,日本帝国政府は,定期的引揚船舶について規定されているのと同様に出国引揚者を乗船させる船舶に必要品を供給しなければならない.

 4.引揚船以外の船舶によって引揚者を帰還させるべき通告を受けたときは,日本帝国政府は,次のとおり処理しなければならない.

  い.前記の指示に従って船舶に必要品を供給すること.

  ろ.佐世保引揚援護局から船の出帆予定港に引揚者を移動させること.この際引揚者の出発港における滞留を最小限の時間内とするよう移動を調整すること.

  は.引揚者の受入,船内における引揚者の保護及び下船港における関係当局への引揚者の引渡に関して従うべき手続について船長に指示を与えること.

 5.引揚琉球人は,船舶の都合つき次第退去させることとし,次の員数を越えてはならない.

  い.各船沖縄向300名,奄美大島向200名

  ろ.1週につき船1隻

 

 

 

48.日本人及び非日木人の引揚に関する総令部覚書(抄)

 

AG 370. 05(21年5月7日)GC-0

SCAPIN 927/17                      昭和24年3月9日

覚書あて先 日本政府

件   名 日本人及び非日本人の引揚

 1.昭和21年5月7日付連合国総司令部覚書 AG 370.05(21年5月7日)GC,(SCAPIN 927),修正件名前記と同一参照.

 2.前項の参照覚書の全頁は附属Ⅷ(覚書の廃棄)を除いて廃棄し,この覚書の附属をそれに代える.この覚書の1頁より22頁までの間に編入された変更に:は下線を引いてある.

 3.前期第1項にあげた参照覚書の附属Ⅵの諸条項は,昭和24年1月18日付日本政府あて覚書AG 130 (24年1月18日)ES/FIN,SCAPIN 1966,件名,日本入国及び出国時において携帯を許される個人の財産,によって廃止されている.

 

同封

 この覚書第2.項に述べたもの

       

AG 370.05(21年5月7日)GC-0             昭和21年5月7日

SCAPIN 927

覚書あて先 日本政府

件   名 日本人及び非日本人の引揚

 1.この覚書は.次の事項を規律する基本的指令である.

  い.次の地域からの日本人の集団引揚

     ソ連領土

     ソ連の管理下の地域

     中国(満洲を含む)

  ろ.他のすべての日本人個人並びに以前に中国,台湾,朝鮮及び琉球諸島の住民であって日本に移動させられたものの引揚規定,但し右規定が連合国最高司令官の他の指令に含まれない場合に限る.

 2.附属Ⅷにあげた覚書に含まれている従来の指示はこの指令によって代えられる.

 3.日本政府は,この覚書の附属に含まれている諸指示を米第8軍司令官の監督の下に,遂行することを要する.

 

附属

 附属Ⅰ 日本への日本人の集団引揚及び非日本人を含む他の個人の引揚規定につき連合国最高司令官の他の指令がない場合,これを規律する一般方針

 附属Ⅱ 引揚者処理のための日本国内引揚援護局

 附属Ⅲ 日本への及び日本からの引揚

 附属Ⅳ 補給及び輸送

 附属Ⅴ 医療上及び衛生上の手続

 附属Ⅵ 昭和24年1月18日付日本政府あて覚書AG 130(24年1月18日)ESS/FIN,SCAPIN 1966,件名,「日本入国及び出国時において携帯を許される個人の財産」によって廃棄された.

 附属Ⅶ 雑

 附属Ⅷ 覚書の廃棄

 

              附 属 Ⅰ

   日本への日本人の集団引揚及び非日本人を含む他の個人の引揚規定につき連合国最高司令官の他の指令がない場合,これを規律する一般方針

 3.引揚者を貨物船で輸送する場合は,必要な貨物を排除しない限度で行う.引揚者は認可された引揚港のみに向う貨物船で輸送する(附属Ⅱの2い,参照)

 6.日本の引揚計画に従って日本へ及び日本から引き揚げる者又は特別の場合に連合国最高司令官によって許可される者のみが引揚船によって輸送される.

 7.本国に引き揚げた非日本人は,連合国最高司令官によって認可された揚合以外は,商業上の便宜の得られる時期まで,日本に帰還することは許されない.

9.連合国最高司令官は他の関係外国政府と引揚に関する必要な取極を行う責任を有する.

 *この附属及びこの覚書を通じて使用されている「非日本人」という用語は,北緯38度以北の朝鮮を引揚先とする在日朝鮮人及び引揚の特権を失っていない他の在日非日本人(中国人,台湾人,琉球人及び北緯38度以南の朝鮮を引揚先とする朝鮮人を含む.〔原注〕

 

              附 属 皿

          日本への及び日本からの引揚

           第1節 一般計画

 1.い.日本への及び日本からの引揚を規律するつぎの計画は現在有効であって,連合国最高司令官より別段の指令あるまでは継続するものである.

   は.この計画によれば,引揚を希望するものとして登録をしながら,日本政府の引揚実施のための指令に従わない非日本人は引揚の特権を失い,将来のいかなる引揚計画においても考慮されない.このような者の名簿を日本政府は保管することを要する.

   に.みずからいかんともし難い事情のために日本政府の引揚計画に従うことのできない家族の場合には,前記は項に対する例外を設ける.実行しうる限り.近親家族グループを一単位とみて,その家族員が引揚の特権を失っていない限りそれを一単位として引き揚げさせることを要する.

 2.連合国最高司令官が別に指令しない限り,佐世保又は長浜引揚援護局を日本を離れる一切の非日本人引揚者を処理するために使用することを要する.

 3.厚生省は,

ろ.本国へ帰還を希望している非日本人をこの計画の規定の下に行動するよう指令される時まで,その現住所に止めるよう管理することを要する.

 5.管理

  い.日本政府は,引揚援護局におけるその代表に対し次の指令をなすことを要する.

    (1)出国する非日本人引揚者を乗船に先立って選任された集団長の下に組織していくつかの集団とすること.

    (2)これらの集団に対し遵守すべき船中の日常行為及び衛生上の措置を充分に指示すること.

    (3)集団の秩序正しき乗船を確保すること.

  ろ.日本政府地方官憲は,引揚者が日本国内及び日本人乗組の船舶上にある間、引揚者を管理するために用いうるあらゆる法的手段を利用すること.

 

           第2節 朝鮮への引揚

 6.北緯38度以南の朝鮮への日本からの朝鮮人の集捌引揚は,昭和21年12月28日に完了した.ただし例外として連合国最高司令官の他の指令の定めるところに従って他の個人の引揚が引き続き行われる.

 7.北緯38度以北の朝鮮への日本からの朝鮮人の集団引揚は,昭和22年6月26日に完了した.

 8.朝鮮人囚人の引揚

い.日本政府は.朝鮮人の非軍人囚人が拘禁期間服役し且つ正当に拘禁をとかれるまで,かれらを日本から引揚させてはならない.このことは,日本政府が刑罰の執行をゆうよし又は軽減する権利を決して犯すものではないと解すべきである.

   ろ.前記は,昭和21年2月19日付連合国総司令部覚書AG 015 (21年2月 19日)LS,SCAPIN 757,件名,朝鮮人及び他の特定国人に対する判決の審査の条項に従う.

 9.この計画の下に,朝鮮人の日本から朝鮮への引揚を計画し実施することは日本政府の責任である.この責任の全部又は一部が各種朝鮮人団体のいかなるものにも委託されることはない.

 

第3節 琉球諸島への引揚

 1.北緯30度以南の琉球諸島への日本からの琉球人の集団引揚は,昭和21年12月28日に完了した.ただし.例外として連合国最高司令官の他の指令の定めるところに従って他の個人の引揚が引き続き行われる.

 

     第5節 すべての他の地域への及びそれよりの引揚

 14.中国(満洲を含む)及び台湾への集団引揚並びに中国(満洲を含む)及びソ連及びソ連支配下の地域を例外とするあらゆる地域からの集団引揚は完了した.もっとも,この指令の規定は,連合国最高司令官の特別の指令が反対の規定をしない楊合には,あらゆる地域へ又はあらゆる地域から引き揚げる落伍者及び個人の一切の場合に連用される.

 

 

 

55.日本への不法入国の抑制に関する総司令部覚書

 

AG 000.5(21年12月10日)GC

(SCAPIN 1391)                    昭和21年12月10日

覚書あて先 日本帝国政府

経   由 東京.終戦連絡中央事務局

件   名 日本への不法入国の抑制

 1.参照

  い.昭和21年6月12日付連台国総司令部覚書AG 014.33(21年6月12日)GC,(SCAPIN 1015),前記と同一件名.

  ろ.昭和21年8月9日付連合国稔司令郡覚書AGO14.33(21年8月9日)GC,(SCAPIN 1116),件名.「仙崎引揚援護局経由による引揚廃止.」

 2.前記の覚書を廃止して後記をもって代える.

 3.朝鮮においてはなおコレラがまん延しているから,朝鮮から内地に不法に人を輸送する船舶を捜索し且つ逮捕するために断乎たる措置を続けてとらなければならない.

 4. 日本帝国政府は,次のことをすることを要する.

  い.日本港への不法入港船舶を捜索する措置を引き続き実施すること.

  ろ.すべてのこのような船舶を取り抑えて,可能な場合には,乗組員,乗客及び積荷とともに:佐世保又は舞鶴へ回航の上その港の米軍官憲に引き渡すこと.

  は.内地で逮捕されたすべての朝鮮人不法移民に対するコレラ検疫及び他の医療処置を入国に関する現存の覚書に従って,行うこと.これら検疫官の許可を得た後,不法入国者を鉄道で佐世保援護局に輸送すること.

  に.朝鮮人不法移民は佐世保援護局からこの目的のために指示された船舶で送還すること.

  ほ.朝鮮人不法移民を送還する列車及び引揚船には警備のため日本人警官を乗り込ませること.

 5.日本人警官の警備に必要な援助及び戚信を与え且つその活動を調整するために必要な連合軍警備兵は地方軍司令官に申請すれば与えられる.

 

 

 

56. 日木への不法入国の抑制に関する総司令部覚書

 

AG 000.5(21年12月11日)GD

(SCAPIN 1393)                    昭和21年12月11日

覚書あて先 日本帝国政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 日本への不法入国の抑制

1.表記件名の昭和21年10月16日付終戦連絡中央事務局覚書第5489(CM)参照,この覚書中には連合軍が各種の船舶に対して発行したと称される「許可証」なるものについて述べられている.

2.日本領水外にまで航行する日本船舶は,当該航海のため特に日本商船管理局長官(SCAJAP)の発行した許可証を船中に携行しなければならない.例外を除いて,連合国最高司令官は,他のいかなる航行許可証の発行も許可していない.

3.在朝鮮米国軍政庁は,連合国最高司令官に対して,右軍政庁の海上輸送局は船舶に対し航行許可証を発行することを許された唯一の機関であること及び右輸送局の命令によって,公認された外国貿易に従事している唯一の船舶はバルチック・コースター型の貨物船と朝鮮汽船会社所属の船舶だけであることを報告してきている.

 

 

 

58, 日木への不法入国の抑制に関する総司令部覚書

 

AG 000.5(22年7月8日)GC-0

(SCAPIN 1742)                      昭和22年7月8日

覚書あて先 日本政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 日本への不法入国の抑制

  • 昭和21年12月10日付連合国総司令部覚書 AG 000.5(21年12月10日)GC,(SCAPIN 1391),前記と同一件名

 2.上記参照覚書第5項を取り消し,次をもってそれに代える.

  「5.列車に同乗する日本人警官の活動に必要な援助及び威信を:与え且つその活動を調整するために必要な連合軍警備兵は,地方軍司令官に申請すれば与えられる」

 3.今後,この覚書によって修正された上記第1項参照文書の諸条項実施にあたって,不法入国朝鮮人を佐世保収容所から朝鮮釜山に送還することに関して日本政府に与えられる一切の日常事務指示事項は,可能な限りにおいて口頭で伝達する.

 4.日本政府は,引き続き上記第2項によって修正された上記第1項参照文書の諸条項に従うことを要する.

 

 

 

61.日本への不法入国の抑制に関する総司令部覚書

 

AG 000.5(22年12月23日)GC-0

(SCAPIN 1391/1)                  昭和22年12月23日

覚書あて先 日本政府

経   由 東京,終戦連絡中央事務局

件   名 日本への不法入国の抑制

 1.次の各覚書を参照すること.

  い.昭和21年12月10日付連合国総司令部覚書 AG 000.5(21年12月10日)GC,(SCAPIN 1391),前記と同一件名

  ろ.昭和22年7月16日付連合国総司令部覚書 AG 370.5(22年7月16日)GC-0,(SCAPIN 927/16),件名,日本人及び非日本人の引揚修正

 2.上記第1項い.参照覚書の第4項に修正を加え,次の各項を追加する.

  へ.北緯38度以南の朝鮮に送還される朝鮮人不法入国者の手荷物は北緯38度線以南の朝鮮に帰還した際それらの不法入国者が公共の負但となることを防止するため個人的使用に必要な量の手荷物に制限すること.その手荷物は,各朝鮮人が一回に携行しうる量に制限することを要する.

  と.朝鮮人不法入国者が,北緯38度線以南の朝鮮忙に帰還した際日本政府の発行する種類の外国人登録票及び配給票又は朝鮮人の日本不法入国を容易にするおそれのある偽造旅行命令書の如き偽造公文書及び信用状を所持しないことを確保するため必要と認められる処置をとること.

  ち.上記第1項ろ参照文書の附属Ⅵの第3項い(2)第3項ろ及び第3項にの規定が北緯38度線以南の朝鮮へ日本から引き揚げる朝鮮人に適用しうる限り,従来どおりこれらの規定を,北緯38度線以南の朝鮮に送還される朝鮮人不法入国者に適用すること.

 

 

 

44.朝鮮人,琉球人等の送還に関する引揚援護院援護局長通ちょう

 

引揚援護院発業第八三九一号

   昭和二十二年十二月十七日

                       引揚援護院援護局長

都道府県知事 殿

朝鮮人琉球人等の送還に関する件

 標記については嘗て計画送還当時病気等の理由につて帰還することの出来なかつた特殊事情者に対してのみ個人的に審査して各都道府県知事の発行する帰還証明書により送還中であつたところ朝鮮人については去る九月三日連合軍総司令部の指示により一時停止したのであるが今般更に総司令部から指示があつて爾今朝鮮人は左記該当者に限り送還を許可せられることとなつたから御諒知の上その様御配意煩はしたい追つてこの他外地から引揚げて来る朝鮮人は上陸地援護局より送還援護局に移送する者に限り現状通り送還を許可せられるからその点併せて御含み願いたい

尚琉球人特殊事情者の送還は本年十二月を以て一応終了となつていたのであるが尚万巳むを得ない事情を有する者もあり且外地より引揚げて来る者の送還とも併せ考慮せられるから今後ともこれ等の者の送還を継続致したいからその点御諒承の上御配意願いたい

   記

一、不法入国者

二、軍事裁判等に依り強制送還を命じられた者

三、帰還に関し連合軍最高司令部より正式の許可を得た者

右第三によつて帰還を許可せられた者は一人当り五〇〇ポンドの身廻品の携行を許される但しその運賃及び旅費は本人の負担である

 

 

 

54.不法入国不法密輸入事犯等の取締に関する次官会議決定

 

昭和21.7.15 次官会議決定

不法入国、不法密輸入事犯等の取締に関する件

密貿易並びに不法入国等の取締に関する具体的措置については、大蔵、内務、厚生、司法運輸各省は相互に連絡協力しこれに当ることとしその実施に際しては次の要領による。

一、取締監視船はこれを海運局において準備し取締に必要な税関管理警察官を乗船せしめる。

二、密貿易事犯、不法入国及び検疫は関連するものであるからこれが取締については税関及び警察の各官吏は相互に援助協力して取締の徹底を図ること。

三、GHQへの密輸事犯、検挙、報告は各税関から大蔵省に報告し大蔵省においてこれを取り纏めの上同司令部に提出するという方法によること。

 

 

 

 

57.解放民族等の強制送還に関する内務省公安第一課長通ちょう

 

公安一発第三一号

   昭和二十二年二月五日

内務省公安第一課長

警視庁警務部長

警視庁刑事部長

各庁府県警察部長 宛

解放民族等の強制送還に関する件

 朝鮮人、台湾人、琉球人並に中国人其他の密入国者、連合軍指令又は軍事裁判による追放者等の強制送還は従来関係方面の打合せにより、適宜実施して来たのであるが、

 今般、連合軍の日本政府宛客年十二月十日付覚書(二月五日参考資料送付に関する件通牒参照)により密入国朝鮮人の護送は日本警察に於てすることゝなり、又連合軍軍事裁判による追放者は司法、内務両省協議の結果、暫定的措置として内務省に於て実施することゝ(別添一)なつたから、爾今左記により強制送還を実施し、取扱上遺憾なきを期せられ度

  記

一、警察に於て担当すべき要送還者

(一)密入国朝鮮人

(二)軍事裁判による追放者

(三)連合軍指令による送還者

(四)中国人、台湾人、琉球人其他の密入国者(現在公式な覚書はないが密入国朝鮮人に準じて取扱ふこと)

尚或地方では現地司法機関の依頼により解放民族等の在監者を警察部にて送還したる向があるが、

司法省に於ては、特に内務省に依頼する外、原則として監守等によつて、現地司法機関に於て実施する方針であるから、為念

二、送還の責任範囲

要送還者(密入国又は指令によるもの)を検挙、逮捕したる時、又は軍事裁判所乃至は現地司法機関より身柄を受け取りたる時より、長崎県佐世保又は京都府舞鶴の現地米軍当局に引渡す迄の間とする。

尚軍事裁判により、追放の言渡しがあり、且つその執行を警察に於てなすべき指令があつた場合、その身柄は直接日本側に引渡し、

解放民族等の関係団体には引渡さざる様、

目下別添(二)により終連を経て、司令部に要請中であるが、現地進駐軍に対しても、予め、了解方連絡し置くこと。

三、鉄道輸送

目下運輸当局と折衝中であるが、何分の指示があるまで現地交渉により実施された度

四、送還手続

(一)密入国者

 送還途中、R.T.O其他に協力方要請する場合の便宜上、或ひは、又、強制送還を正確に遂行する為め、左の事項を内容とする送還理由書を作成携行し身柄と共に現地米軍に提出すること、尚従来長崎県針尾収容所に於て、現地軍により、往々釈放された事例等があつて、密入国者取締に支障を来してゐる向もあるので

 これを防止する為には、

 現地に於て釈放される虞れある者については、特に詳細なる書面を作成し、要すれば、現地軍政官のサイン、指令等を取得して添付すること。

  1.検挙地(住所)、職業、氏名、年令

  2.鮮内の住所、職業

  3.上陸月日、上陸地並に検挙地(住所)に至りたる経緯

  4.検挙状況

  5.送還理由

尚長崎県は、

 (1)朝鮮人等より収容中の要送還者に関し、現地軍に釈放方の嘆願あつた場合

    又は現地軍の釈放方指令があつた場合は、釈放の猶予方を要請して、速に、送還庁府県へ照会すること。

 (2)「釈放」と決定した場合はその旨送還庁府県に通報すること。

(二)連合軍の指令又は軍事裁判による追放者

 追放に関する指令又は前項に準じたる送還理由書を作成携行して身柄と共に現地軍に提出し、

  1.引渡したる   月    日

  2.現地軍の部隊名

  3.同責任者名

 のサインを受け本省に報告すること。

 サインを受け得ざる場合は、長崎県当局又は直接現地軍より右の事項につき聴取して報告すること。

 尚この報告は、GHQの要求により、内務省より中央終連を経て、GHQに報告されるものである。

「別添一」(略)

「別添二」(略)

 

 

 

60.非日本人及び外国人の本邦入国に関する終戦連絡中央事務局管理部国内課長の警保局公安第一課長あて通知

 

終管内第一四一号

   昭和二十二年十一月五日

                        終戦連絡中央事務局管理部国内課長

     警保局公安第一課長宛

       非日本人及び外国人の本邦入国に関する件

 貴信公安一発第九八号を以て御照会の件に付連合軍最高司令官に問合せたる結果左の通り御知らせする。

一、一九四六年五月七日AG 三七〇.〇五GC SCAPIN 九二七覚書附属第一の七項「其の本国に:既に帰還せる非日本人」に関し司令部の見解は、終戦以後引揚計画にて引揚げたもの及び計画によらず引揚げたもの双方を含むものである。

二、一九四六年四月二日附覚書AG○五三第一項「進駐軍に属せざる日本人以外の国民にして日本入国を随時許可することあるべし」に関し司令部の見解は連合軍が日本占領以降「日本人以外の国民の日本入国」を原則的に禁止したるものである。

 

 

 

注意

 連合国総司令部覚書(SCAPIN)の訳文には「,」「.」が使用されているので注意すること。