朝鮮職業紹介令・施行規則

分類コード:I-02-01-007_I-02-01-008

発行年:1940年

・朝鮮職業紹介令

朝鮮人への職業紹介・職業指導を行う職業紹介所の設置、朝鮮人の雇用募集について職業紹介所か各地の府・邑面(自治体)若しくは道知事の認可を得た者が行うよう規定している。また、内地事業主が朝鮮で求人募集する際は朝鮮総督か道知事の認可を必要とすることが記載されている。朝鮮総督府令第2号。1940(昭和15)年1月11日付官報第3889号登載。同1月20日朝鮮総督府制令第6号により施行。

・朝鮮職業紹介令施行規則

朝鮮職業紹介令について、職業紹介所の規模、組織、職務、文書様式など設置に必要な条項を規定。朝鮮総督府令第7号。1940(昭和15)年1月20日付官報号外登載。

著作者:
朝鮮総督府
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昭和15(1940)年1月11日付官報 第3869号

 

朝鮮職業紹介令明治四十四年法律第三十号第一条及第二条に依り勅裁を得て茲に之を公布す

  昭和十五年一月十一日          朝鮮総督 南 次郎

制令第二号

   朝鮮職業紹介令

第一条 政府は労務の適正なる配置を図る為本令に依り職業紹介事業を管掌す

第二条 政府は職業紹介事業に併せて職業指導及必要に応じ職業補導其の他職業紹介に関する事項を行ふものとす

 前項の規定に依る職業紹介及職業指導は之を無料とす

第三条 府邑面は朝鮮総督の定むる所に依り職業紹介事業を行ふことを得

第四条 府邑面に非ざる者職業紹介事業を行はんとするときは朝鮮総督の定むる所に依り道知事の許可を受くべし

第五条 労務供給事業を行はんとする者又は労務者を雇傭する為労務者の募集を行はんとする者にして朝鮮総督の定むるものは朝鮮総督の定むる所に依り朝鮮総督又は道知事の許可を受くべし

 前項の労務供給事業及労務者の募集に関し必要なる事項は朝鮮総督之を定む

第六条 道知事職業紹介事業の監督上必要ありと認むるときは朝鮮総督の定むる所に依り業務に関する報告を徴し又は当該官吏をして事業を行ふ場所に臨検し業務の状況若は帳簿書類其の他の物件を検査せしむることを得此の場合に於ては当該官吏をして其の身分を示す証票を携帯せしむべし

第七条 左の各号の一に該当する者は六月以下の懲役又は五百円以下の罰金に処す

一 第四条の規定に依る許可を受けずして有料又は営利を目的とする職業紹介事業を行ひたる者

二 第五条の規定による許可を受けずして有料又は営利を目的とする労務供給事業を行ひたる者

第八条 第五条の規定による許可を受けずして労務者の募集を行ひたる者は百円以下の罰金又は拘留に処す

第九条 法人又は人の代理人、使用人其の他の従業者が其の法人又は人の業務に関し前条の違反行為を為したるときは其の法人又は人は自己の指揮に出でざるの故を以て其の処罰を免るることを得ず

第十条 本令の罰則は其の者が法人なるときは理事其の他の法人の業務を執行する役員に、未成年者又は禁治産者なるときは其の法定代理人に之を適用す但し営業に関し成年者と同一の能力を有する未成年者に付ては此の限に在らず

第十一条 前二条の場合に於ては懲役又は拘留の刑に処することを得ず

第十二条 本令は船員の職業紹介には之を適用せず

 船員の職業紹介に関し必要なる事項は朝鮮総督之を定む

   附則

本令施行の期日は朝鮮総督之を定む

本令施行の際現に第四条の規定に依り許可を受くべき職業紹介事業を行ふ者及第五条の規定に依り許可を受くべき労務供給事業又は労務者の募集を行ふ者は本令施行後二月以内に朝鮮総督の定むる所に依り朝鮮総督又は道知事に許可を申請すべし

前項の者は前項の申請に対する許可又は不許可の処分ある迄其の事業又は募集を行ふことを得

 

 

※朝鮮職業紹介令の施行については、昭和15(1940)年1月20日付官報号外(朝鮮職業紹介令施行規則の記載されている号)に記載。

 

◎朝鮮総督府令第六号

朝鮮職業紹介令は昭和十五年一月二十日より之を施行す

  昭和十五年一月二十日          朝鮮総督 南 次郎

 

昭和15(1940)年1月20日付官報 号外

 

◎朝鮮総督府令第七号

朝鮮職業紹介令施行規則左の通定む

  昭和十五年一月二十日          朝鮮総督 南 次郎

 

朝鮮職業紹介令施行規則

 

   第一章 無料職業紹介事業

第一条 府邑面朝鮮職業紹介令(以下単に令と称す)第三条の規定に依り職業紹介事業を行はんとするときは事業所の名称、位置、設備、職員定員及事業経営に関する諸規程に付道知事の認可を受くべし之を変更せんとするとき亦同じ

 府邑面の行ふ職業紹介は之を無料とす

第二条 府邑面に非ざる者令第四条の規定に依り無料の職業紹介事業の許可を受けんとするときは左に掲ぐる事項を記載したる申請書を事業所所在地を管轄する道知事に提出すべし

 一 本籍、住所、氏名、年齢及履歴(法人なるときは其の主たる事務所の所在地、名称、定款、理事其の他の法人の業務を執行する役員の住所、氏名及履歴)

 二 事業所の所在地及名称

 三 設備

 四 職員定員

 五 事業経営に関する諸規程

第三条 前条の許可を受けたる者前条第一号中法人の定款若は理事其の他の法人の業務を執行する役員又は前条第二号乃至第五号に掲ぐる事項を変更せんとするときは前条の規定に準じ許可を受くべし

第四条 職業紹介事業を行ふ府邑面(以下府邑面と称す)又は府邑面に非ざる者にして無料職業紹介事業を行ふ者(以下経営者と称す)は何等の名義を以てするを問はず報償として手数料其の他の財物又は利益を受くることを得ず

第五条 府邑面事業所を設置したるときは直に其の名称、位置及開所年月日を告示すべし事業所を廃止し又は告示したる事項を変更したるとき亦同じ

 府邑面前項の告示を為したるときは道知事に之を報告すべし

第六条 経営者事業所を設置したるときは直に適当の方法に依り其の名称、位置及開始年月日を公示すべし事業所を廃止し又は公示したる事項を変更したるとき亦同じ

 経営者前項の規定の依り公示を為したるとき又は経営者其の住所若は氏名(法人なるときは主たる事務所の所在地若は名称又は理事其の他の法人の業務を執行する役員の住所若は氏名)を愛更したるときは七日以内に其の旨を事業所所在地を管轄する道知事に届出づべし

 経営者死亡したるときは其の相続人又は戸主、経営者たる法人解散したるときは其の清算人より前項の規定に準じ其の旨を届出づべし

第七条 府邑面及経営者は事業所に左の票簿を備へ紹介に関する事項を遅滞なく之に記載すべし

 一 求人票(様式第一号)

 二 求職票(様式第二号)

 三 紹介曰計簿(様式第三号)

 前項の票簿は最後の記載を為したる日より三年間之を保存すべし

第八条 府邑面及経営者は毎月五日迄に前月の事業状況を様式第四号に依り 朝鮮総督府職業紹介所長(朝鮮総督府職業紹介所の設置なき区域に在りては府尹、郡守又は島司)に届出づべし

第九条 道知事は経営者が本令に違反し又は公益を害し若は害するの虞ありと認むるときは其の許可を取消し又は其の事業の全部若は一部の停止を命ずることを得

 

   第二章 管利職業紹介事業

第十条 府邑面に非ざる者令第四条の規定に依り有料の又は営利を目的とする職業紹介事業の許可を受けんとするときは左に掲ぐる事項を記載したる申請書を事業所所在地を管轄する道知事に提出すべし

 一 本籍、住所、氏名、年齢及履歴(法人なるときは其の主たる事務所の所在地、名称、定款、理事其の他の法人の業務を執行する役員の住所、氏名及履歴)

 二 事業所の所在地及名称

 三 設備

 四 主として紹介せんとする職業の種類

 五 手数料額及其の領収方法

 前項の申請書は事業所所在地を管轄する警察署長を経由すべし

 道知事第一項の申請書を受理したるときは事業所所在地を管轄する朝鮮総督府職業紹介所長(朝鮮総督府職業紹介所の設置なき区域に在りては府尹、郡守又は島司)の意見を徴すべし

第十一条 前条第一項の許可を受けたる者前条第一項第一号中法人の定款若は理事其の他の法人の業務を執行する役員又は前条第一項第二号乃至第五号に掲ぐる事項を変更せんとするときは前条第一項及第二項の規定に準じ許可を受くべし

 前条第三項の規定は前項の場合に之を準用す

第十二条 有料又は営利を日的とする職業紹介事業の施穀を相続に因り承継したる者は道知事の認可を受け其の事業を行ふことを得

 前項の者前項のー認可を受けんとするときは相続開始の日より一月以内に前条第一項各号及左に掲ぐる事項を記載したる申請書に戸籍抄本を添へ之を事業所所在地を管轄する道知事に提出すべし

 一 被相続人の氏名

 二 被相続人との続柄及相続開始の事由

 前項の者は前項の規定に依る申請に対する認可又は不認可の処分ある迄其の事業を行ふことを得

 第十条第二項及第三項の規定は第一項の場合に之を準用す

第十三条 有料又は営利を目的とする職業紹介事業を行ふ者(以下紹介業者と称す)並に其の同居の戸主及家族は宿屋、料理屋、飲食店、貸座敷、芸妓置屋、遊戯場、芸妓娼妓酌婦若は之に類する者の周旋業、婚姻媒介業、信用告知業、労務供給事業、質屋、古物商、金銭貸付業其の他之に類する営業を為し若は其の営業者の従業者となり又は労務者の募集に従事することを得ず朝鮮代書士取締規則に依る代書士又は其の補助員となること亦同じ

 前項の規定は紹介業者が法人なるときは理事其の他の法人の業務を執行する役員に、未成年者なるときは其の法定代理人に之を準用す但し其の営業に関し成年者と同一の能力を有する未成年者に付ては此の限に在らず

第十四条 紹介業者は未成年者、禁治産者、準禁治産者又は妻に付ては其の法定代理人、後見人。保佐人又は夫の承諾あるに非ざれば職業を紹介することを得ず但し已むを得ざる事由に因り其の承諾を得ること能はざる場合に於て本人を保護する者の承諾あるときは此の限に在らず

第十五条 紹介業者は許可を受けたる手数料の外何等の名義を以てするを問はず報償とした財物又は利益を受くることを得ず

第十六条 紹介業者は左に掲ぐる行為を為すことを得ず

 一 事業に関し誇大又は虚偽の広告又は掲示を為すこと

 二 紹介に関し事実を隠蔽し、誇大又は虚偽の言辞を弄し其の他不正の手段を用ふること

 三 求職者の意思に反して紹介を為すこと

 四 求職者を宿泊せしむること

 五 金品を給与し又は貸付けて就職を勧誘すること

 六 被傭中の者を勧誘し他に紹介すること

 七 事業所外に於て被傭者たることを勧誘すること

 八 求職者を誘引するものに対し何等の名義を以てするを問はず財物其の他の利益を供与すること

 九 紹介に係る雇傭の当事者問に於ける財物の授受に関与すること

 十 求職者に対し其の所持する財物の保管を求め又は保管したる財物の返還を故なく拒むこと

 十一 求職者に対し財物の売買又は質入を勧誘すること

 十二 求職者の所持する財物を買受けて不当の利益を得ること

 十三 芸妓、娼妓、酌婦又は之に類するものの周旋を為すこと

 十四 求職者に対し風俗を紊る虞ある行為を為すこと

 十五 求職者に対し遊興を勧誘し又は其の案内を為すこと

 十六 紹介に関し知得したる人の秘密を漏洩すること

第十七条 紹介業者従業者を使用するときは使用開始の日より五曰以内に其の本籍、住所、氏名、年齢及履歴を事業所所在地を管轄する警察署長に届出づべし

第十八条 第十三条第一項及第十六条第九号乃至第十六号の規定は従業者に之を準用す

第十九条 左の各号の一に該当するときは紹介業者は七日以内に其の旨を事業所所在地を管轄する警察署長に届出づべし

 一 紹介業者の本籍、住所若は氏名(法人なるときは其の主たる事務所の所在地、名称、理事其の他の法人の業務を執行する役員の住所又は氏名)又は事業所の名称を変更したるとき

 二 紹介業者廃業したるとき

 三 従業者の使用を罷めたるとき

 四 従業者の住所又は氏名に変更ありたるとき

 五 従業者死亡したるとき

 紹介業者死亡したるときは其の相続人又は戸主、紹介業者たる法人解散したるときは其の清算人前項に準じ其の旨を届出づべし

第二十条 紹介業者は事業所に左の帳簿を備へ紹介に関する事項を遅滞なく之に記載すべし

 一 求人簿(様式第五号)

 二 求職簿(様式第六号)

 三 紹介日計簿(様式第七号)

 四 手数料収受簿(様式第八号)

 前項の帳簿は後の最後の記載したる日より三年間之を保存すべし

第二十一条 紹介業者は毎月五日迄に前月の事業状況を様式第九号に依り朝鮮総督府職業紹介所長(朝鮮総督府職業紹介所の設置なき区域に在りては府尹、郡守又は島司)に届出づべし

第二十二条 道知事必要ありと認むるときは手数料額又は其の領収方法の変更を命ずることを得

第二十三条 道知事は左の各号の一に該当するときは其の許可を取消し又は其の事業の停止を命ずることを得

 一 紹介業者本令又は本令に基きて為したる処分に違反したるとき

 二 紹介業者正常の事由なくして六月以上其の業務を行はざるとき

 三 前各号の外紹介業者事業を行ふに適せずと認むるとき

第二十四条 警察署長は従業者事業に従事せしむるに適せずと認むるときは紹介業者に其の使用を禁止することを得

第二十五条 本令は芸妓、娼妓、酌婦其の他之に類する者の職業紹介に之を適用せず

 前項の職業紹介に関し必要なる事項は別に之を定む

 

   第三章 労務供給事業

第二十六条 令第五条第一項の規定に依り許可を受くべき労務供給事業は臨時に使用せらるる労務者を有料にて又は営利の目的を以て常時三十人以上供給する事業とす

第二十七条 労務供給事業の許可を受けんとする者は左に掲ぐる事項を記載したる申請書を事業所所在地を管轄する道知事に提出すべし

 一 本籍、住所、氏名、年齢及履歴(法人なるときは其の主たる事務所の所在地、名称、定款、理事其の他の法人の業務を執行する役員の住所、氏名及履歴)

 二 事業所の所在地及名称

 三 主として労務者を供給する区域

 四 所属労務者の業務の種類

 五 供給に依る収益方法又は報償の額若は率

 六 他の者より供給を受けたる労務者を供給する場合の利益の配分方法

 七 所属労務者に対する賃金支払の方法

 八 所属労務者の業務上の負傷、疾病、死亡等に対する扶助其の他の措置

 九 所属労務者に対する金品の貸付及回収方法

 十 所属労務者の宿泊施設を設くるときは其の所在地、構造(平面図添附)宿泊定員及宿泊料金額

 十一 所属労務者に対する福利施設を設くるときは其の内容

  第十条第二項及第三項の規定は前項の場合に之を準用す

第二十八条 前条第一項の許可を受けたる者前条第一項第一号中法人の定款若は理事其の他の法人の業務を執行する役員又は前条第一項第二号乃至第十一号に掲ぐる事項を変更せんとするときは前条第一項の規定に準じ許可を受くべし

 第十条第二項及第三項の規定は前項の場合に之を準用す

第二十九条 第十三条の規定は労務供給事業を行ふ者(以下供給業者と称す)並に其の同居の戸主及家族に之を準用す但し労務者の募集に従事する者と為るは此の限に在らず

第三十条 第十四条の規定は供給業者が未成年者、禁治産者、準禁治産者又は妻を其の所属労務者と為す場合に之を準用す

第三十一条 供給業者は左に掲ぐる行為を為すことを得ず

 一 事業に関し誇大又は虚偽の広告又は掲示を為すこと

 二 所属労務者の意思に反した供給を為すこと

 三 金品を給与し又は貸付けて所属労務者たることを勧誘すること

 四 被傭中の者を勧誘し所属労務者とすること

 五 所属労務者に対し其の所持する財物の保管を求め又は保管したる財物の返還を故なく拒むこと

 六 所属労務者に対し財物の売買又は質入を勧誘すること

 七 所属労務者の所持する財物を買受けて不当の利益を得ること

 は 所属労務者に対し風俗を紊る虞ある行為を為すこと

 九 所属労務者に対し遊興を勧誘し又はその案内を為すこと

 十 所属労務者の外出、通信、面接其の他の自由を制限し又は其の所属労務者に対し苛酷なる取扱を為すこと

 十一 当該官吏又は所属労務者を保護する者に対し所属労務者の所在を隠蔽し又は之を偽ること

 十二 所属労務者の宿泊施設に定員を超えて宿泊せしむること

 十三 故なく所属労務者の宿泊施設に所属労務者に非ざる者を宿泊せしむること

第三十二条 供給業者従業者を使用するときは使用開始の日より五日以内に其の本籍、住所、氏名、年齢及履歴を事業所所在地を管轄する警察署長に届出づべし

第十三条第一項及前条第五号乃至第九号の規定は従業者に之を準用す但し労務者の募集に従事する者と為るは此の限に在らず

第三十三条 第十九条の規定は供給業者及其の使用する従業者に之を準用す

第三十四条 供給業者は事業所に左の帳簿を備へ供給に関する事項を遅滞なく之に記載すべし

 一 所属労務者名簿(様式第十号)

 二 労務者供給簿(様式第十一号)

 三 賃金受払簿(様式第十二号)

 前項の帳簿は最後の記載を為したる日より三年間之を保存すべし

第三十五条 供給業者は毎月五日迄に前月の事業状況を様式第十三号に依り朝鮮総督府職業紹介所長(朝鮮総督府職業紹介所の設置なき区域に在りては府尹、郡守又は島司)に届出づべし

第三十六条 道知事必要ありと認むるときは第二十七条第五号乃至第十一号の事項の変更を命ずることを得

第三十七条 第二十三条及第二十四条の規定は供給業者に之を準用す

 

   第四章 労務者の募集

第三十八条 令第五条第一項の規定に依り許可を受くべき労務者の募集は左の各号の一に該当する場合を除くの外職工、鉱夫、漁夫、土工夫其の他人夫の募集とす

 一 応募者就業の為住居を変更するの必要なきとき

 二 移民保護法に依る募集を為すとき

第三十九条 労務者の募集の許可を受けんとする者は左に掲ぐる事項を記載したる申請書を募集地を管轄する道知事二提出すべし但し募集地二以上の道に亙る場合に於ては朝鮮総督に之を為すべし

 一 本籍、住所、職業、氏名、年齢(法人なるときは其の主たる事務所の所在地、名称、事業の種類及理事其の他の法人の業務を執行する役員の氏名)朝鮮に住所を有せざる者に在りては募集地の属する道内に仮住所を定め朝鮮に主たる事務所を有せざる法人に在りては募集地の属する道内に仮事務所の所在地を定め之を併記すること

 二 応募者の就業場の所在地及名称

 三 応募者の就業すべき事業の種類

 四 募集予定人員(男女別、単身者家族持別及労務別)

 五 募集すべき労務者の年齢の範囲

 六 募集区域

 七 募集期間

 八 応募者の輸送方法

 九 募集従事者(自ら募集に従事する募集主を含む以下同じ)の本籍、住所、氏名、年齢、職業及履歴

 十 各募集従事者の担当募集区域及募集予定人員

 十一 募集従事者に与ふる報償

 前項の申請書には左に掲ぐる事項を記載したる就業案内其の他募集に関し配布すべき文書及募集従事者の写具二葉を添附すべし

 一 前項第一号乃至第三号の事項

 二 短期の事業に在りては其の事業の関始及終了の期日

 三 就業時間、休憩時間、休日及夜間作業に関する事項

 四 賃金に関する事項

 五 宿舎、食事の費用其の他日常生活に要する費用の負担に関する事項

 六 貯金及稼働の奨励に関する事項

 七 福利施設及輔導方法

 八 往復に要する旅費の負担に関する事項(傷痍、疾病又は死亡に因り父兄其の他の者の往復に要する旅費を含む)

 九 制裁の定あるときは之に関する事項

 十 雇傭期間及解雇に関する事項

 十一 傷痍、疾病又は死亡の場合に於ける扶助救済に関する事項

 第一項但書の規定に依り朝鮮総督に提出すべき書類は明治四十三年朝鮮総督府令第五号の規定に拘らず直接之を朝鮮総督に差出すべし

第四十条 募集主前条第二項第三号乃至第八号、第十号又は第十一号の事項を変更せんとするときは変更せんとする事項を具し、募集従事者を変更せんとするときは新に募集従事者となさんとする者に付前条第一項第九号及第十号の事項を具し且其の写真二葉を添附し募集地を管轄する道知事の許可を受くべし

 前条第二項の文書に変更ありたるときは遅滞なく其の旨を募集地を管轄する道知事に届出づべし

第四十一条 前二条の規定に依る申請書又は届書は応募者の就業場所在地を管轄する道知事を経由すべし

第四十二条 朝鮮総督労務者の募集の許可を為したるときは其の申請書の写を募集地を管轄する道知事に送付すべし

第四十三条 道知事労務者の募集の許可を為したるとき又は前条の申請書の写の送付を受けたるときは様式第十四号の募集従事者証を募集従事者別に作成し之を募集主に交付すべし

募集主募集従事者をして募集に従事せしむるときは募集従事者証を之に交付すべし

 募集従事者証を滅失又は毀損したるときは募集主及募集従事者は其の再交付を申請することを得

 募集従事者証の記載事項に変更を生じたるときは募集主又は募集従事者は遅滞なく募集従事者証を提出し其の書換を申請すべし

 前二項の規定に依る申請書には募集従事者の写真二葉を添附すべし

第四十四条 募集従事者募集に従事するときは募集従事者証を携帯すべし応募者若は応募せんとする者又は之を保護する者は募集従事者に対し其の募集従事者証の呈示を求むることを得

第四十五条 左の各号の一に該当するときは募集従事者は遅滞なく募集主に募集従事者証を返戻すべし

 一 募集に従事することを罷めたるとき

 二 募集主の請求ありたるとき

 三 第五十八条第二項の規定に依り募集に従事することを禁止せられたるとき

 募集従事者死亡したるときは戸籍法第百十七条又は朝鮮戸籍令第九十九条の届出義務者は遅滞なく募集主に募集従事者証を返戻すべし

第四十六条 左の各号の一に該当するときは募集主は遅滞なく募集従事者証を其の交付を受けたる道知事に返納すべし

 一 募集期間満了したるとき

 二 募集を完了したるとき

 三 募集を廃止したるとき

 四 募集の許可を取消されたるとき

 五 前条の規定に依り募集従事者証の返戻を受けたるとき

第四十七条 募集従事者募集に著手せんとするときは左に掲ぐる事項を募集地を管轄する警察署長に届出づべし

 一 募集従事者の住所及氏名

 二 募集に従事中の居所及事務所を設けたるときは其の所在地

 三 当該警察署管内に於ける募集従事期問

 四 当該警察署管内に於ける募集予定人員

 五 応募者の集合所を定めたるときは其の所在地及集合日時

 前項の規定に依る届書には第三十九条第一項の申請書の写及同条第二項の文書を添附すべし

 第一項各号に掲ぐる事項又は前頂の規に依り添附したる文書に変更ありたるときは遅滞なく之を届出づべし

第四十八条 募集従事者は応募せんとする者に対し第三十九条第二項の就業案内を交付し其の主旨を説明すべし

第四十九条 第十四条の規定は募集従事者が未成年者、禁治産者、準禁治産者又は妻を労務者として募集する場合は之を準用す

第五十条 募集従事者は左に掲ぐる行為を為すことを得ず

 一 募集従事者証胆を他人に譲渡し又は貸与すること

 二 募集に関し事項を隠蔽し、誇大又は虚偽の言辞を弄し其の他不正の手段を用ふること

 三 応募を強要すること

 四 募集を他人に委託すること

 五 応募者を募集従事者証に記載する募集主以外の者に周旋すること

 六 金品を給与し又は貸付けて応募を勧誘すること

 七 被傭中の者を勧誘し応募せしむること

 八 応募者、応募せんとする者又は之を保護する者より手数料、報酬等何等の名義を以てするを問はず金銭其の他の財物を受くること

 九 応募者、応募せんとする者又は之を保護する者に対し其の所持する財物の保管を求め又は保管したる財物の返還を故なく拒むこと

 十 応募者の外出、通信、面接其の他の自由を制限し又は応募者に対し苛酷なる取扱を為すこと

 十一 当該官吏又は応募者を保護する者に対し応募者の所在を隠蔽し又は之を偽ること

 十二 応募者又は応募せんとする者に対し風俗を紊る虞ある行為を為すこと

 十三 応募者又は応募せんとする者に対し遊興を勧誘し又は其の案内を為すこと

 十四 募集に関し知得したる人の秘密を漏洩すること

第五十一条 募集従事者は様式第十五号の応募者名簿を募集に従事中携帯し又は第四十七条第一項第二号の居所若は事務所に備ふべし

第五十二条 募集従事者応募者を募集地より出発せしめんとするときは其の出発の日の三日前迄に左に掲ぐる事項を募集地を管轄する警察署長に届出づべし

 一 応募者の本籍、住所、氏名及年齢

 二 出発より就業場到著迄の旅程

 募集従事者応募者を朝鮮外に出さんとするときは其の離鮮の日の三日前迄に前項各号に掲ぐる事項を離鮮地を管轄する警察署長に届出づべし

 前二項の規定に依り届出たる事項に変更ありたるときは遅滞なく之を届出づべし

第五十三条 募集従事者応募者を汽車、汽船其の他の交通機関以外の場所に於て宿泊せしめんとするときは予め左に掲ぐる事項を宿泊所所在地を管轄する警察署長に届出づべし

 一 宿泊所

 二 応募者の男女別人員

 三 宿泊所到著及出発の日時

第五十四条 応募者就業場に到著したるときは募集従事者は遅滞なく第五十二条第一項第一号の事項を就業場所在地を管轄する警察署長に届出づべし

第五十五条 左の各号の一に該当する場合に於て応募者又は之を保護する者の請求ありたるときは応募者就業場に到著前に於ては募集従事者、到著後に於ては募集主応募者の帰郷の為必要なる措置を為すべし

 一 就業案内に記載したる事項が事実と相違したるとき

 二 募集主、募集従事者又は就業場の監督者応募者を虐待し又は凌辱したるとき

 三 考試、身体検査其の他募集主の都合に依り応募者を採用せざるとき

 四 其の他已むを得ざる事由に因り帰郷を必要とするに至りたるとき

第五十六条 左の各号の一に該当するときは募集主は七日以内に其の旨を募集地を管轄する道知事に届出づべし

 一 募集主の本籍、住所、仮住所所又は氏名(法人なるときは其の主たる事務所若は仮事務所の所在地、名称又は理事其の他の法人の業務を執行する役員の氏名)に変更ありたるとき

 二 応募者の就業場の所在地又は名称に変更ありたるとき

 三 事業を廃止したるとき

 四 募集を廃止したるとき

 五 募集従事者の本籍、住所又は氏名に変更ありたるとき

 六 募集従事者に対し募集の委託を解きたるとき

第五十七条 募集主は毎月五日迄に前月の募集状況を様式第十六号に依り募集地及就業場所在地を管轄する道知事に届出づべし

 前項の届出は募集地及就業場所在地を管轄する朝鮮総督府職業紹介所長(朝鮮総督府職業紹介所の設置なき区域に在りては府尹、郡守又は島司)を経由すべし

第五十八条 朝鮮総督又は道知事募集を不適当と認むるときは其の募集許可を取消すことを得

 道知事募集従事者を不適当と認むるときは募集に従事することを禁止することを得

第五十九条 朝鮮鉱業令施行規則第二十七条の鉱業代理人は本令の適用に付之を募集主と看倣す

 

   第五章 罰則

第六十条 左の各号の一に該当する者は拘留又は科料に処す

 一 第四条、第十一条、第十三条乃至第二十一条、第二十八条乃至第三十五条、第四十条、第四十三条第四項、第四十五条乃至第五十六条又は第九十七条第一項の規定に違反したる者

 二 第二十条第一項又は第三十四条第一項の帳簿に虚偽の記載を為したる者

 三 応募者名簿の記載を怠り又は之に虚偽の記載を為したる者

 四 第二十二条、第二十四条、第三十六条又は第五十八条第二項の規定に基く命令に違反したる者

 五 第二十三条及第三十七条の規定に依り事業を停止せられたる紹介業者又は供給業者にして其の停止期間中事業を行ひたる者

 六 第三十九条第二項の文書以外の文書を配布したる者

 七 募集従事者に非ずして募集に従事したる者

 八 募集従事者証を携帯せずして募集に従事したる者

 九 募集従事者より委託を受けて応募者を誘導したる者

第六十一条 本令の罰則は其の者が法人なるときは理事其の他の法人の業務を執行する役員に、未成年者又は禁治産者なるときは其の法定代理人に之を適用す但し営業に関し成年者と同一の能力を有する未成年者に付ては此の限に在らず

第六十二条 紹介業者、供給業者又は募集主は其の代理人、従業者若は募集従事者、同居の戸主、家族又は雇人にして事業又は募集に関する第六十条の違反行為を為したるときは其の紹介業者、供給業者又は募集主は自己の指揮に出でざるの故を以て其の処罰を免るることを得ず

 

※各様式については省略